アリスターは追放された。

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アリスターは追放された。

『知りたい秘密、ありませんか?』 『どんな秘密でも告白させます!魔法の薬が新発売!』  とある大手製薬会社が、そんなキャッチフレーズでとある薬を発売した。  何でも、相手に一滴飲ませるだけで何でも自白させることができるという魔法の薬であるという。ようは超強力な自白剤であるのだが、この薬の凄いところは強制力がハンパないわりに副作用がないということ。  そして無味無臭で、僅か一滴で効果があるとのこと。  つまり、友人や恋人、家族を相手に気軽に使えてしまうということだ。  広告を見た瞬間、世間の人々がざわついたのは言うまでもないことである。 「本当にそんな薬を作ることが可能なのか?」 「誇大広告なんじゃないの?」 「そもそも、倫理観はどうなってるんだ、倫理観は!本人の意思を無視して、無理矢理喋らせることができちまうってことだろ!?」 「うっわ、やべええええええええええええええええええええええええええええええ!」 「秘密だらけの俺、オワタ\(^o^)/」 「今から購入しまーす!でもって彼氏に飲ませて浮気吐かせまーす!」 「興味はあるけどちょっと怖くない?」 「こんな薬が本当にあるなら、もう誰のことも信用できなくなりそう」 「私の腐った本の場所が彼氏にバレるかもしれないってことですか!?やっべえええええ((( ;゜Д゜)))」 「いろんな意味で草しか生えない」 「全力でわろてる」 「いや、流石にこういうのはどうなの?法律に触れたりとかしないの、ねえ?」  SNSでは、そんな声が山のように溢れた。薬の名前である“コチナール・アルファ”の名前はあっという間にトレンド入り。ニュースでも頻繁に取り上げられることになったのである。  不思議なことに、こんなヤバげな薬なのに政府は一切見解を発表しない。さながら違法なドラッグを疑ってもいいほどの効果だというのに、完全に沈黙を貫いている。  まるで、この状況の一切を静観しますとでも言うかのように。 「コチナール・アルファ……ねえ」  そして俺もまた。そんなニュースを見て、興味を引かれた一人なのだった。  理由は単純明快。秘密を告白させたい相手がいるからである。
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