2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
雲一つ無い澄んだ青空に綺麗な花畑、時々青空と同化した鮫が浮遊している――これが今の私の世界の全て。
この世界は窮屈かもしれない。
時間の流れも空間の広がりもどこかで止まっているかもしれない。
風が吹く音も花が靡く音も聞こえない無音の世界。それが永遠に続くかもしれない。
そして何より、私が何者なのか――名前、性別、年齢、出生、その他全てが分からない。いや、最初から存在しなかったのかもしれない。
色々考えてみても答えは未だ何一つ見つかっていない。
それは周囲を彷徨う私と同じ人影たちも同じである。
結局私も人影たちも、何も分からないし、これからも何か分かることは無い。
ただ一つだけ確実に言えることは、この世界に存在ということだけである。
――もう色々考えるのに疲れたから、私はぶらりこの世界を旅します。
不気味なほどの静寂の中、花畑には今日も人影がちらついていた。
最初のコメントを投稿しよう!