謎の図書館

　世の中には不可思議な図書館が存在する。存在して然るべき。
　何が不可思議か。この図書館には常駐の職員や司書がいなければ、管理者が誰なのかさえ一切不明である。
　それだけでない。山奥にポツンと建っているわけでもない（県道から少し外れた先の小さな集落の片隅にある）にもかかわらず、情報社会と謳われている現代においてどんな情報網を駆使しても、この図書館が表に出てくることは一切無い。
　地元の人間の一部の変わり者以外は誰も微塵の興味も示さない。

――つまり、私はその一部の変わり者なのである。