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夕方、翔に見送られて莉子は翔の家を出た。
その家の前で、翔は妖精のグリンを呼び寄せる。
「こいつが、俺の妖精のグリン。グリン、莉子を頼むな」
「わかったわよ。ま、あんたと一緒にいるより、かわいい女の子と一緒にいる方がずっと楽しいしね」
グリンは微笑むと、莉子の周りをくるくると飛ぶ。
その様子を微笑ましく見ながら、莉子は自分も、言わなければいけないことがあることを思い出した。
「あのね翔、実は私……」
「莉子ーーーー!」
莉子が自分の秘密を告白しようとした時、空気を読まない甲高い叫びが場に響く。
その相手を見て、莉子は目を見開いた。
「モーム!?」
モームと呼ばれたのはピンク色の髪と羽を持つ妖精である。
「莉子、悪の組織が怪人をたくさん出してきたの! 早く変身して向かって!」
「わかったわ!」
莉子はポカンとする翔とグリンを尻目に、ピンク色のふわふわのドレスを着た魔法少女に変身した。
「翔、実は、私は魔法少女リリアンなの!」
「へ……?」
呆然として固まっている翔を見て、莉子は苦笑した。妖精によって守る地区は違うらしいので、知らないのも無理はない。
「それじゃ、私は怪人倒しに行ってくるね! 翔、また明日ね!」
手を振って怪人を倒しに行く魔法少女を、翔とグリンは大口を開けたまま、見送っていったのだった。
ちゃんちゃん♪
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