彼氏が魔法少女だった件

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 さすがに呆れて莉子が叫ぶ。 「でも結局、翔が折れたのね」  翔はこれ以上もないほど渋い顔をした。 「少女の方が正体がバレにくいって説得されたからな」  確かに魔法少年よりは正体がバレにくいだろう。だが、それでも1週間も粘ったのはそれだけ嫌だったということだ。 「んで、その後、2週間くらい衣装と容姿で揉めたんだ」 「いや、長いね!?」  莉子は突っ込んでから、ふと首を傾げる。 「翔ってそんなに服に興味あったっけ?」  現在の翔の服装は赤いシンプルなパーカーにジーンズである。普段もだいたい似たような服装のため、莉子には翔が服に興味があるようには思えない。  翔はまたしかめっ面をした。 「だってグリン……妖精が提案するのフリフリの衣装ばっかりなんだぞ。しかも、絶対戦いにくいやつ」 「ああ……そういうこと」  翔ならフリフリの服も似合うだろうと莉子は思ったが、決して口には出さなかった。 「で、2週間も争ってどんな魔法少女になったの?」 「んと……魔法少女ウイングって知ってるか?」 「ああ、あの……ん?」  思い出してから、莉子は首を傾げる。 「ウイングって、翔とは似てなくない?」
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