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2話:願いの代償
「僕の願い事は、祖父を生き返ら」
「無理だ」
言葉の語尾をかき消す勢いで、僕の願い事が却下された。
「蘇生は不可だ」
「なんでも一つ叶えるって言った癖に!」
咎めるように反論すると、リヴがお座りの姿勢からゆっくりと立ち上がった。そして、獲物を捕らえる寸前の肉食獣のような獰猛な瞳でまた睨まれる。
姿はあくまで猫だが、並々ならぬ迫力がある。理不尽にも、僕を狩る気満々の目をしていた。
「あー、あのぉ……。よかったら、コロッケ食います?」
コロッケで悪魔の機嫌がとれるのかは不明だけれど、とりあえず怒りを沈めてもらう為に僕は自分の好物を差し出すことにした。
この田舎町でたった一店舗しかない、駅前のコンビニで買ってきたコロッケだ。
「頂こう」
意外にもすんなり食べるらしく、コロッケを袋から出し机に置くと、カラッと揚がった衣に齧りついたリヴが、サクサクと良い音を響かせた。
「……コロッケ好きなんだ」
「いや」
その食い付きの良さで否定されてもと、そう声に出して突っ込みたくなるほど、リヴは美味しそうにコロッケを食べている。
「俺は今、お前と血の契約中だからだ」
話を聞くと、契約中はなぜか相手の好物が食べたくなるようだ。
コロッケを食べ終え、満足そうに伸びをしたリヴが、「では、食い物の礼に情報をやろう。契約はギブ&テイクだからな」と、意味深な視線をこちらに向けた。
「まずはじめに、願い事の代償として、願いを叶えた後にお前の心臓を頂く」
「……は?」
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