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「妹なんだからさ、ユリでいいよ」
「お、おう……ユリ……」
実際に口に出してみるとなんだか照れるけど、確かに呼び捨てのほうが妹感あるよな。
「ユリってさ、EI女子校の制服着ているけど、そこの生徒なのか?」
「実はね、違うの……私、EIに行きたくて受験勉強していたんだけど、受験する前に死んじゃった……それでね、お葬式のときに、私のお母さんがこの制服を用意してくれたの。生きていたら中学に行きたかったでしょ、って。それで、私にこの制服を着せてくれたの」
「そうか……行きたかった学校に行けなくて残念だったな……」
「……うん。残念……あのね、ここの制服、普通のセーラー服じゃなくって、有名なデザイナーさんが作ったセーラー服なんだよね。すっごくかわいいから、お友達と一緒にこの中学に行きたいね! って猛勉強していたんだ。でもね、私だけ死んでしまって……」
「そのお友達は、受かったの?」
「うん。アヤちゃんって子なんだけど、受かってた。私、幽霊のまま合格発表、見に行っちゃった」
「そっか、お友達は受かったのか。それはよかったな」
「……うん……」
ユリの表情は、どことなく、ぎこちない感じがした。
俺は何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。
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