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ある日、俺は聞いてみた。
「ユリはさ、彼氏とかいるの?」
「なにそれ? いるって答えたらヤキモチ焼いてくれるの?」
「え? う~ん、妹だからな……やっぱり、ちゃんとしたやつと付き合ってほしいし……」
「ふふふ……いないよ! 私、幽霊だもん。それに、生きていた時もいなかったよ~」
「そっか」
「な~に安心した顔してんの? あれれ~、お兄ちゃん、私のこと好きなの?」
「うるさい妹だな。そんなこと言う妹、いるかよ!」
「う~ん、いるかもよ!」
こんな感じの毎日だった。
そう、こんな日々が、毎日続けばいいのに……
「ところでさ、ユリ。自分の親には会わなくていいのか?」
「……うん。お父さんもお母さんも、私が死んでから、どこか遠いところに引っ越しちゃった。私の力では、追いかけることはできなかったの……」
「そっか、ユリは函館の地からは離れられないのかもな」
あと一つ、俺はユリについて知りたいことがあった。
なぜ、死んでしまったのかだ。
しかし、これはいくら聞いても教えてくれなかった。
俺は、自分で調べてみることにした。
ユリは、俺が学校に行っている間は姿を現さない。
学校で俺が独り言を言っていたら、おかしな人だと思われるだろうって、遠慮してくれているのだ。
俺と同じクラスに、妹がEIに通っている友達がいた。
「あのさ、お前の妹の学校で、自殺した子とかいないか?」
「なんだよ、縁起でもない。そんな話、聞いたことないよ」
「そっか……」
「あ、でも……友達をいじめて自殺させた子がいるって噂だぜ。人殺しとか言われて、逆にかわいそうだけど、まぁ、自業自得だよな」
それだ!
ユリの死に何か関係があるに違いない。
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