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それから数日後。
「あのね、大事なお話があるの……」
ユリのテンションがいつもと違っている。
俺は心配になった。
「あのね……わたし、もう、お兄ちゃんから見えなくなってしまうの……」
「それって、成仏するってこと?」
「……うん。レアカードのね、有効期限が切れるの。そうなると、私、向こうの世界に行くことになるの……もう、ガチャ引けないし……課金も年齢制限があるから、これ以上できないの……」
「可視化SECカードのことか?」
「うん……」
そう言うと、ユリは声を上げて泣き始めた。
俺の目からも涙があふれてきた。
さんざん泣いた後、落ち着きを取り戻したユリは、俺にこんなお願いをしてきた。
「最後に、お兄ちゃんに連れて行ってもらいたいところがあるの。あのね、私のお友達のところ」
「俺をあの世に連れて行くのか?」
「ちがうよ。私が生きていた時のお友達のところだよ。アヤちゃんっていう子。言いたかったことがあるの。でもね、私、死んでしまったから、もう自分の言葉では伝えられないの。だからね、お兄ちゃんに代わりに伝えてもらいたいの」
俺は、ユリがそのお友達に伝えたかった言葉を聞いた。
事情を察した俺は、ユリのためにさっそく、そのアヤちゃんという子の家に行くことにした。
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