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即答してしまったが、レオンハルトは別段目くじらは立てなかった。むしろ「素っ気ないところもいい」と呟いたのが聞こえてしまい、冷や汗が流れた。
(……ええっと、レオンハルトってこんな感じの性格だった? もっと人間を憎んでいて、好戦的で残虐、冷徹なイメージが強かったんだけど……)
私の記憶にある彼と現状の彼が、どうにも一致しない。よくよく考えてみれば、彼と二人でこんなに長く話す事もなかった。
兎にも角にも、今がいつなのか確認が必要だという結論に至る。
「レオンハルト、今は帝国暦何年かわかりますか?」
「答えたら婚姻の儀を──」
「だからしません」
私は自分の笑みが引き攣るのを抑える。正直「それどころじゃない」と一蹴したかったが、言葉を飲み込んだ。
「そうですね。聖女様はまだ成人していないのですから、いきなり婚儀では戸惑っているのでしょう。でしたら添い寝から──」
「わ、私ではなく他の方に頼んでは? その顔ですのでモテるでしょう」
「魔人族は強さこそが全てです。強さこそ愛」
「うん。戦闘大好きさんだものね」と私は心の中で思った。もはや私の笑みが引き攣っているのを隠しきれていないだろう。それなのにレオンハルトはまったく気にしていない。いや、気にしてほしいのだけれど。空気を読んで!
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