第2話 思わぬ再会

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第2話 思わぬ再会

(今が魔物討伐の遠征中だと仮定して、最良なのは魔人族と出会わずに魔物討伐を完遂する。最悪なのは魔人族と既に合流し、共闘しているところを巡回していた領主に見られる、よね……)  魔人族という種族は、魔物とは異なるのだが、角と褐色の肌が特徴的な一族だ。竜の血を引いているという話も聞くが、帝国では魔物を使役する上位種という認識が強い。というのも数百年前に魔人族が魔王と名乗って、大規模な侵略行為を行った歴史があるからだ。事実は不明だが。  魔人族の敗北。そのせいで彼らは南の草原を追われ、今では霧と共に帝国内を巡っているという。数はそこまで多くはないが、一人一人が一騎当千の将軍並みに強い。極東(きょくとう)の国の武士(もののふ)とも互角だとか。  今回の魔物討伐は教会上層部が、幻狼騎士団を貶める為、魔人族と鉢合うように仕組んだのだ。その上、魔人族たちに幻術をかけて、私たちを魔物と思わせて襲わせる計画だった。  死に戻りする前(前回)、その話を私は牢獄でケニス枢機卿から聞いた時、怒りでどうにかなりそうだった。そして強く後悔したのだ。 (あの時は気づけなかったけれど、今ならまだ最悪の事態は防げるかもしれないわ!)  十歳の頃から幻狼騎士団の遠征に同行していたが、その時に巻角の魔人族を、何度か見たことがあった。  好戦的な彼らだが、少なくとも話は通じるし、交渉次第で切り抜けられるかもしれない。僅かな希望を胸に、私は寝床から起き上がる。  薄暗かったテントの中も次第に目が慣れてきた。  まずは団長のローワンに話をしに行こう。そう思って動こうとした瞬間、テントに入り込んできた人物に私は目を見開いた。 「目が覚めましたか、聖女」  バリトンのよく響く声。  黒い鹿の巻角、褐色の肌に、目鼻立ちが整った顔。宝石のような紫の瞳、淡い金髪は片目を隠すように左前髪が長く、後ろ髪は基本的に三つ編みで一つにまとめていた。かなり美形で、眉目秀麗(びもくしゅうれい)という言葉が、よく似合う男だ。外見は二十代に見えるが、実年齢は不明だ。
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