螢池に願ふ事(改訂版)

本当の願い

走馬灯、だろうか。

私は、昨日あの池に行った。
この池には、昔からずっと言い伝えられてきた伝承がある。それを確かめたかった。

『池の中には、天界である罰を犯し、俗界に降りた神の御社がある』というものだ。

神様は慈愛深く、天界では地上の人間たちの幸せを祈り、人々の願いを叶えていた、というそうだ。私も御伽噺として母から聞いた。

……私は、神様を信じているわけじゃない。
けれど、もし、いるのなら。
今度こそ、叶えてくれるのなら。
またひとつだけ、神様にお願いしたいんだ。

『神様』

どうか、お願いです。
もし、神様が虚像ではないなら。
このまま苦痛が続くなら。

もう友達なんかいらない。独りでもいい。
幸せになれなくても良いから。

楽にさせて、って。