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ゆっくりと深呼吸をする。送っちゃえ!私!頑張って!
『突然ですが!好きな子いる〜?』
そう好きな子からLINEがきた。『龍貴くんだよ!』って送りたい。送りたいけれど送れない。きっと両思いなんだろうな〜。それはただの理想で本当は片思いかもしれない。
『急にどうしたの?いないよ?』
そう送ってしまった。告白なんかしていないのに私の心臓は壊れてしまいそうなくらい速く鼓動を打ち続ける。スマホの画面を指で何度も行ったり来たりして何度も画面を消したりつけたり。1分が10分に感じる。彼の返信をまだかと待ち続ける。
『さぁ?w』
ホーム画面に表示された文字を見て、私の胸は落ち着かず、速く返信をしたいけれど食いついているとバレたくないのでわざと既読を少し遅らせる。
10分待つって決めたのに1分もかからずに開いてしまう。文字を打つ私の指は両思いの可能性があることに舞い上がりずっと震えている。そして笑顔は耐えない。
『ふーんw龍貴くんは?』
『何がw』
『好きな子。』
彼の返信が途絶えたことを確認し、私もずっとみていると思われたくないので画面を閉じる。けれどやっぱり気になって仕方がない。
『香里が言ったら言ってやるよw』
初めての名前呼びにさらに心臓の鼓動が速くなる。自分でも顔が赤いことがわかる。家族にわかられないよう、布団に顔をうずくめる。
「好きすぎる...」
思わずつぶやく。アニメの世界かよって突っ込みたくなるような照れ方をしているかもしれない。そう思うと恥ずかしくて、でも本当に好きすぎてやめられなくて。
『返信にげんなよー?w』
既読もつけていない状態でさらに彼の追い打ちは来る。
「もう。ずるいよ...。」
こんなに照れているときにさらに来ると恥ずかしくて、けれど嬉しくて。笑みがこぼれるのを必死に堪えるけれど今の私には無理だった。
数ヶ月前に関わりをもった彼は今では仲がよく、一日のうち一回の休み時間は必ずおしゃべりをしている。彼が私を好きかもしれないなんて最近思い始めた。
スマホの画面で指をスライドさせる。
『私は諦めないから。先に言ってくれないとねw』
『あ!今お前「先に」って言ったな!やっぱり好きな人いるじゃん!』
『バカだぁあ!』
『www』
やらかしたと頭を抱えながらも会話が楽しくて胸が弾む。
『とにかく!諦めないもんね!おやすみ』
そう言って画面をとじる。
『はいはいwおやすみ!俺も諦めねえよ〜ww』
と表示された画面を見てベッドに倒れて顔をうずくめ足をふる。
「私が待ってるから。だいすき。」
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