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私のために早く学校に来てくれないか。そう思いながら学校に登校するけれどいない。いつも期待をしてしまう。
けれど彼に会いたい。彼はいつも15分に来る。あと5分。
自分の席に座る。昨日話したことを思い出す。
――『香里が言ったら言ってやるよw』
トクンッ
――『返信にげんなよー?w』
トクンッ
――『あ!今お前「先に」って言ったな!やっぱり好きな人いるじゃん!』
トクンッ
――『俺も諦めねえよ〜ww』
「おーい!聞こえてるか?俺のこと思い出してーんの?」
その声に振り向くと彼がいたずら好きな子供のように笑っていた。
「ちがうよ。勘違いしないで!」
「顔赤っ」
彼はまた私を見て笑った。
「顔が赤いことくらいっ...」
私は急いで口を止めたがもう遅い。
「わかってます!って?じゃあなんで赤いの?」
顔がだんだんと熱くなる。
「いや...わかってないもん。」
「ほんとー?じゃあ放っておこう。」
彼がカバンを開けて、授業の準備を始める。彼がロッカーへ向かおうとした時、私の手が伸び、龍貴くんの制服の裾をつまんだ。
「どうしたの。」
彼は不思議そうに私を見た。
「好きな子って....!」
いるの?そう聞きたいけれど私の喉に引っかかる。聞いてしまえばバレてしまう。もうバレてそうだけれど。
「言ったら言ってやるって言ったろ?」
彼は「ハハハッ」と笑うと私の手首を掴んで裾から離した。そして顔をのぞきこむと微笑んで確かにこういった。
「俺は香里が好きだよ?」
私の顔はさらに熱くなった。彼の目を見てられなくて下を向くとそこにあった唇が歪んでいる。余裕な表情に見えたが余裕がないのだろう。
「ねえ。返事ちょうだいよ。」
私は顔が見られているのがはずかしく、返事をする前に彼の胸に顔を埋めた。
「私も...。」
「ありがとう。」
そう言って私の頭を撫でた。私を離すと再び顔をのぞき、「付き合ってください。」と言った。私は唇を噛み締めたままうなずいた。
「お願いします。」
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