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『何で笑うんだよ』
耳元に問いかけながら、手を滑らせて、葉のソコに触れる。これ以上ないくらいに葉の首筋は真っ赤になっていて、顔は逸らしたまま貴志狼の方を向いてもくれなかった。
驚いたことに、その場所はもう、熱を持ってゆるく立ち上がっている。それでも、葉が貴志狼の手を拒むことはなかった。
『…だって…僕だって…男だし…でも、ひとりでこんなんなって…はずかし』
どうやら、反応してしまっている自身に気付かれるのが恥ずかしかったようだ。と、分かったのだが、貴志狼は葉のそんな初心な反応にため息が出そうになった。もちろん、出しはしない。出したら、拗ねるだろうから。そして、拗ねた葉の機嫌を取っている余裕が自分にはなかったから。
『ひとりで?』
だから、貴志狼は葉の身体をわざと自分の身体に密着させた。
『え?』
もちろん、貴志狼のだって、反応していないはずがない。それまでは、葉を怯えさせないようにとあえて、ソレの存在感に気付かせないようにしていただけだ。
『笑うわけねえだろ? 好きなやつと一緒に風呂入ってて反応しなかったら病気だ』
半勃ちどころではない。貴志狼のソレは葉のものなど比べ物にならないくらいに強く自己主張している。
その意味に気付いて、葉の顔が驚きから、恥ずかしそうでありながら嬉しそうな顔に変わる。
『同じ?』
顔を見上げて、呟いた葉の指先がぎゅ。と、貴志狼の腕を握る。頷いて見せると、ふにゃり。と、笑って、身体を預けてくる。強張っていた身体から力が抜けて、いつもは色素の薄い肌が上気しているのが例えようがないほど色っぽい。僅かに開いた唇が赤い。今度はそれが、すごく近い。
貴志狼の視線がその唇に向いているのに気付いたのか、葉はそっと、その長い睫毛を伏せる。白い瞼に薄く青い血管が見える。それが、綺麗だった。
だから、貴志狼は、そこに口づける。それから、瞼を開いた葉が拗ねたような、咎めるような表情になるから、今度は少し強引に細い髪の中に手を入れて、その唇にキスをした。
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