騎士の本分 3 寄り添い守るもの

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 さっきから、貴志狼に委ね切った身体が恥ずかしがるようにもじもじと動いている。そのさまがまた、可愛くもあり、色気も感じさせられて、そ。っと、脚の間に触れる。そこはさっきよりもずっと、硬くなっていて、葉が決して不快でないのが分かった。  だから、包み込むようにソコを握って、ゆっくりと手を上下させる。 『…あ』  葉が快感に漏らす声を初めて聞いた。砂糖細工みたいに甘い声。本人は恥ずかしさに唇をかみしめているけれど、もっと聞きたい。 『葉。声。がまんすんな』  前への刺激を続けたまま耳元に囁く。また、びく。と、身体を強張らせてから、ぎゅ。と、目を閉じて、葉は首を横に振る。解いた髪が揺れて、湯船に水滴が飛んだ。 『唇。傷になる』  どうしても声が聞きたくて、指先で軽く先端を刺激しながら、追い込むとソレの硬度はさらに増していく。瞳の端に涙を溜めて、それでも頑なに唇をかみしめてしまうから、貴志狼はその唇を舌先でつ。と、舐めた。 『あっ』  驚いたように葉の瞳と唇が同時に開く。 『…や。あ。シロ…まっ…っあ』  そうしたら、もう、零れてしまった喘ぎを押しとどめることができなくなって、葉は貴志狼の手が動くのに任せて、声を上げた。縋るように葉の手が貴志狼の腕を握り締める。 『だ…め。だめっ。あっ…ん』  必死に首を振って快楽に耐えようとしている様は今までの誰とも比べられないくらいに、艶っぽくて、綺麗だ。自分の腕の中で、葉がこんな姿を見せてくれる日が来るなんて思わなかった。それは想像していたよりもずっと魅力的で、絶対にもうほかの誰かにこんな姿を見せるなんてありえないと思う。 『や…だって。シロ…んんっ…だめ。も。イっちゃ…から』  葉の瞳の端から、悲しみではない涙が零れる。表情は蕩けきって、身体は抵抗できてないなくせに、説得力のない否定の言葉には、かえって”もっと”と、言われているような響きがあった。 『いいぞ? 葉のイくとこ見たい』  だから、手淫を激しくしつつ、ぺろ。と、耳元を舐めながら囁く。そうすると、葉の瞳が彷徨うように貴志狼を探して、視線がその顔を捉えると、き。と、睨むような表情に変わる。 『ばか。…ふ。ぁ。…ぼくだ…って。シロのこと…ん。きもちよく…した…』  そう言って、その細い指が、貴志狼のソレに触れる。 『…うまく…っ。できないけど。一緒に…』  葉の手がぎこちなく動く。確かにうまくはない。けれど、それをカバーしてありあまる可愛さに、目も眩むほどだと貴志狼は思う。
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