なまけもの童話

怒りん坊、丸へぇ

　朝起きて、顔を洗いに、水をすくって、ピチャっとしたら、冷たい冷たいお水だよ。
　だから、「丸へぇ」むかっときてね、洗面台の鏡を拳で破壊。あらま、鏡の破片のせいで、拳に傷が、出来ちゃった。痛いの痛いの腹立って、壁におでこをぶつけたら、たんこぶできて、また怒る。

　牛飼いの「丸へぇ」は、ちっちゃなときから超短気。朝から晩までムカムカムカ。あんまり怒ってばっかだから、学校退学なっちゃった。

ぽかぽかぽか　ぽかぽかぽか

　出会う人たち取り敢えず、好き放題に殴ったよ。
　お仕事しても、来客の、些細な言葉に苛ついて、壁を壊すの100回目。とうとう仕事は首なって、実家の牛飼い継いだのさ。
　優しい母の、紹介で、変人奥さん貰ったよ。だけど、嫁のお食事に、毎回ケチをつけるのさ。飯がうまいと気に食わん。飯が不味いとふざけてる。飯が普通はつまらない。
　とうとう変人お嫁さん、激怒ぷんすかぷんぷんぷん。「丸へぇ」放って、消えちゃった。

　「丸へぇ」怒ると、もーもー言う。もー腹立つ。もー食べない。もー頑張るもんか。もーやらない。あんまり、もーもー言うてるから、ある日ムクッと目覚めると、牛になったよ、モウモウモウ。

　牛になってしまったの、とってもとっても気に食わん。だけど、腹が減るものさ。実家の牛と一緒にね、草をガツガツ食ったるわ。まずいまずい草だけと、ムカムカしながら食ってやる。