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それにしても、真っ暗闇は、怖いなあ。手元さえうまく見えない状態で、おろおろしていると、突然脇腹に、鋭い痛みが走りました。
「いったい何だろう…」
痛みがしたところを、触れてみると、ぬめっとした嫌な感触。まさか…。
自分を刺した相手を見ようとしたものの、そこで意識が途絶えて、気絶してしまいました。
「今日は、狼が2匹も獲れたわい」
お相撲さんみたいな女の人と、猟師の二人が、真っ暗い部屋でへたばっている、「へぼす」を発見しました。心臓の音を確認したところ、死んでいるようです。
「もう、出てきていいぞ」
猟師の呼びかけで、「へぼす」の横で、正座していた狼が、毛皮を脱ぎました。中からは、お相撲女の旦那が出てきました。
「いやあ、狼とりは楽しいね。何といってもこのスリルがたまんねえわ!」
実は、山の麓にある、3軒の家は、山から下りてくる狼を獲ることが趣味なのでした。そして、「へぼす」と一緒に山を下りた狼は、左の家に仕掛けられていた罠にかかり、とっくに死んでいたのです。
「二匹目の狼は、本当にビビりでてこずったなあ。電気のスイッチを押しさえすれば、罠が天井から下りてきて、簡単に捕らえられたのに。怖いから、俺にスイッチを押してほしい、なんていうもんだから、長時間暗闇で待ってから殺すはめになったわ」
一匹目に殺した狼の着ぐるみは、肉を取り出し、殺菌したものの、生臭くて仕方ありません。体に着いた、獣臭に、鼻をひくつかせながら、お相撲女の旦那は、今床でへたばっている狼を見ました。
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