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女の子の前で、情けない姿を見せてしまったことに、気が滅入ります。こっぴどく怒られることを覚悟していたのに、マーキュリーは、怒る気配がありません。
「うふふふふふ」
真顔でこちらを睨んでくるかと思えば、突然笑い出します。「へぼす」には、訳が分かりません。
「嘘嘘。怒らないわよ。狼退治なんて、みんな慣れっこだし、猟師のおじさんは、一度も怪我1つ負ったことがないから、狼に食われるわけなかったもの」
美しい少女が笑うのを見るのは、心の癒しで、「へぼす」は、ついつい本音が、口から滑り出ていました。
「結婚してほしいなあ‥‥」
マーキュリーが、「へぼす」の方を、え?という顔で見たため、初めて自分が、うっかり独り言を言っていたことに気づきました。
「わわっ、違、違うんだ…‥!」
「結婚してもいいよ」
予想外の言葉に、「へぼす」は驚きつつも、とても愉快な気分になりました。
それから少しして、「へぼす」とマーキュリーは、結婚しました。まさか、こんな美少女と結婚できる、とは思ってなかった「へぼす」は、大喜びです。
ところが、結婚生活は、「へぼす」の思い描いていたものと、だいぶ異なりました。マーキュリーは、とにかくいたずら好きで、玄関に死んだふりで寝転んで、「へぼす」を驚かせたり、「へぼす」を、ゴロゴロ大玉みたいに転がし、遊んだりしました。お化けのふりに、不倫をしたふりをして、「へぼす」を困惑させることも、しょっちゅうです。そのたびに、怖がりの「へぼす」は、巨体を丸めて、ガクガク震えるのです。その様子は本当におかしくて、マーキュリーは、大満足です。
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