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「へぼす」がうんうん悩むうちに、2人(一人+一匹)は、とうとう街へ下りてきました。
「うひょ~!旨そうな匂いがプンプンしていやがる!」
山の麓には、何軒も家が並んでおり、近くに畑があります。畑には、トマトやキュウリなど、おいしそうな野菜がたくさん実っていました。
空腹だった「へぼす」は、その、おいしそうな野菜に夢中です。
「うわあ、旨そうだぁ」
畑の野菜をガツガツ食べる「へぼす」を、不思議そうに狼は見てきます。
「あの狼、野菜なんぞ食って、変なやつだなあ」
試しに、トマトを一つ、口に放り込むと、水臭いのなんの。とても食べられたものじゃありません。
「おい、お前。そんなまずいもんなんか食ってねえで、獣でも食おうや」
狼に誘われた「へぼす」は、あわてて断ります。
「待って、俺、この野菜気に入ったから、後でいくよ」
仕方なく、狼は、一匹で食べ物を探しに行ってしまいました。
いくつかある家のうち、狼は、左の家にズンズン向かっていきます。
「狼は、左の民家に入ったぞ!それなら俺は、右の民家の人に、狼が来たことを知らせよう」
臆病者の「へぼす」は、狼の目の前で、住人を助けるリスクは避けることにしました。
右の民家に住んでいたのは、お相撲さんみたいに逞しい、若い女の人でした。「へぼす」が家のチャイムを鳴らすと、すぐさま扉を開けてくれました。
「こんにちは~、宅配便ですか?」
女の人が玄関外へ行くと、そこには毛むくじゃらの恐ろしい狼がいたのです!
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