出会い※そらside

1/1
前へ
/2ページ
次へ

出会い※そらside

あの日のこと。あなたは今でも覚えているかしら? もしかしたら、もう忘れていたりして。 でも、それでもいい。大丈夫。だって私がいつまでもちゃんと覚えているから···。 あれは私が25歳の頃のこと。 その頃、私は医師と高校のスクールカウンセラーとして、生徒たちの心のケアをする日々を送っていた。 ある日勤めている高校の3年生の学年主任の先生から、一人の男子生徒の心のケアをしてほしいと頼まれた。 その男子生徒は3年生になってから一度だけしか登校していないと学年主任の先生から説明を受けた。そして、原因を探るため私はその生徒の自宅を訪問することにした。 マンションの部屋のインターホンを押した。 何度もインターホンを押す。でも、出てくる気配はない。 諦めかけたその時だった。 (誰かに視られている。確証はない。けれど…。) そらの直感がそう告げる。 (もしかして…が関係してる?) そらにはひとつ心あたりがあった。 それはそらが昔、自身の祖母から聞いた話。 そらの家(園田家)はある家の当主を代々護衛してきた騎士の家系だという話だった。 さらには、その家の当主は代々特殊を持っているという話。 その話をおばあちゃんは懐かしそうに幼い私に語ってくれた。 (確か、園田家仕えていた家の名字は…) 自らの記憶を辿り思い出す。 (確か、沢田家だ!) 表札とそらの記憶が一致した。 (!!!) その瞬間、私の意識は遠のいた。 この出会いが私たちの運命を大きく変えるなんて…。 その時の私は思いもしなかった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加