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一行はそのまま前に向かって歩き続ける。しかし、しばらくしてコンラッドが妙な音に気がついた。
「なんの音だ?」
他の4人は足を止めて耳を澄ます。
ガン、ガン、と、岩がぶつかるような音だ。遠くからほぼ一定のリズムで聞こえてくる。
そろそろ目的地だ。音の主は、おそらく怪盗ライだろう。
「気をつけろ」
オーウェンが言う。なにをしているのか分からないが、警戒するにこしたことはない。
目的地付近には洞窟があった。音は穴の中から聞こえてくる。一行は離れたところからそれを確認し、静かに荷物を置いてそれぞれ武器に手をかけた。
オーウェンが代表して入口の端から中を覗き、そして目を見開いた。
「オーウェン?」
コンラッドがかなりの小声で声をかけると、オーウェンはやや躊躇ってから、中にいるはずの怪盗ライに姿を現した。
「怪盗ライ! ……だな?」
やや自信なさげに相手の名を呼ぶ。
テオたちも入口から中を覗いた。
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