1.魔法使いの少女

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1.魔法使いの少女

 グランディオル王国。その中心地、王都グランディアのやや南西。木々が生い茂る森の中に、少年と少女の2人組がいた。 「ふう……こんなもんかな」  小柄な少年が緑色の葉っぱを片手に、額の汗を拭う。彼の名はテオ・キングズリー。冒険者の卵だ。 「そうね。依頼の分は達成したわ」  金髪の少女、エレン・デイヴィスが葉っぱの入った袋の中を確認する。2人が集めているのは薬草。彼らの住む街にいる医者に頼まれたものだ。  テオが大きくため息をつく。 「こんなことするために冒険者になったんじゃないんだけどな」 「文句言わないの。今は遠くに行くお金も実力もないんだから、適当に依頼をこなして貯金頑張るって言ってたじゃない」  エレンが呆れる。  2人は『冒険者』を名乗ってはいるものの、まだ大した冒険に行ったことはない。旅には危険も伴うし、資金も必要だ。  今は本物の冒険者が旅の途中で金を稼ぐまねをして、近場で完結できる依頼を受けて資金を稼いでいるわけだ。 「だからって毎日毎日薬草取ってこいとか隣町に届け物とかさ、そのぐらい自分で行けよって感じじゃない?」
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