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「いいじゃない、楽な仕事でお金貰えるんだから」
文句ばかり言うテオに、エレンは至極真っ当な意見を返す。しかしテオは地面に座り込んで不満げに頬を膨らませた。
「俺は金よりやりがいが欲しい」
「気持ちはわからなくもないけど、それ……まあいいわ。用は済んだし、早く帰りましょ」
エレンは、悪い大人に騙されそう、という言葉を飲み込んだ。2人は薬草の袋を斜めがけの鞄にしまって立ち上がり、街への帰路についた。
しかし、数歩足を進めたその時、近くで強い光が放たれた。
「っ……なんだ?」
眩しくて半目になりながら辺りを見渡す。光はテオのほぼ真上から発生していた。それに気付いた直後、光の中心から何か大きなものが落ちてきて、テオに直撃した。
「うわっ!?」
「テオ!!」
テオが何かの下敷きになったが、視界が悪く何が起きているのかよく見えない。しかし急に光が収まり、薄暗い森の景色が戻ってきて、エレンはテオに駆け寄った。
「大丈夫!?」
「いってぇ……何……?」
テオが上半身を起こして、降ってきたものを確認する。
それは、赤い髪の少女だった。
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