1.魔法使いの少女

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「いいじゃない、楽な仕事でお金貰えるんだから」  文句ばかり言うテオに、エレンは至極真っ当な意見を返す。しかしテオは地面に座り込んで不満げに頬を膨らませた。 「俺は金よりやりがいが欲しい」 「気持ちはわからなくもないけど、それ……まあいいわ。用は済んだし、早く帰りましょ」  エレンは、悪い大人に騙されそう、という言葉を飲み込んだ。2人は薬草の袋を斜めがけの鞄にしまって立ち上がり、街への帰路についた。  しかし、数歩足を進めたその時、近くで強い光が放たれた。 「っ……なんだ?」  眩しくて半目になりながら辺りを見渡す。光はテオのほぼ真上から発生していた。それに気付いた直後、光の中心から何か大きなものが落ちてきて、テオに直撃した。 「うわっ!?」 「テオ!!」  テオが何かの下敷きになったが、視界が悪く何が起きているのかよく見えない。しかし急に光が収まり、薄暗い森の景色が戻ってきて、エレンはテオに駆け寄った。 「大丈夫!?」 「いってぇ……何……?」  テオが上半身を起こして、降ってきたものを確認する。  それは、赤い髪の少女だった。
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