夕闇に鳴り響く靴音

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新宿の、とある公園には最近のそれには珍しく喫煙所が設置されている。仕事帰りにそこで一服するのが大切な日課となっていた。 ある日同じように一服していると、スマホの中で面白い動画を見つけ、そのまま食い入るように画面に釘付けになった。しかしながら、それほど長い動画ではない。ものの10分で終わった。気がつけば辺りは暗く、すっかり静まり返っている。 静けさの中で、バッグを背負う若い男性の靴音だけがコツコツと周辺にこだまする。私が帰ろうと公園の出入り口に近づいた時、ある重要な異変に気付いた。鍵が閉まっているのである。公園の出入り口は2箇所らしいが、いずれも施錠されていた。先ほどの若い男性が暗闇の中コツコツと私のもとに近づいてくる。 「ヤバいですよね、俺達。閉じ込められたってことですよね。」 と言い、私は黙って頷く。管理人室があるが真っ暗で誰もいない。途方に暮れていると管理人室の灯りが灯る。 「すみません。鍵を開けて下さい。」 若い男性が助けを求めると、管理人らしい老人はその若者に対して烈火の如く怒り出した。 「冗談じゃない。何をやってるんだ。」 「さっきちゃんと伝えたよ。公園にいる皆さんに施錠する、って伝えたよ。」 睨みつけてくる老人を無視して、公園を出、私は右へ、その男性は左へ・・・・。 静けさの中で起こったある日の出来事だった。
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