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誕生
男の子の言う通りテネリ王妃のお腹には命が授かっていました。
その噂は瞬く間に城中に広がり、国中にも広がりました。
国中が新たな生命の誕生に期待し楽しみにしていました。
その日は雪が降っておりました。テネリ王妃はベッドで苦しんでいらっしゃいます。王妃のお腹にいた命がこの世に誕生するからです。
この国に雪が降ることなど滅多にありませんでしたが、国中が真っ白い雪で覆われております。全ての音を白い雪が吸い取っていきます。とても静かな夜でした。
その静けさの中で皆が待ち望んだ命が誕生しました。
しかし産まれてきた赤ん坊を見て、その場にいる誰もが言葉を失いました。
その姿はこの世の者とは思えない程醜かったからです。
産まれてきた赤ん坊は泣き声をあげませんでした。
でも誰も触る事ができません。
「私の子は?私の子を見せて」
テネリ王妃のか弱い声に、一人の少女が動きました。王妃に使える一番格下の少女です。
赤ん坊の足を片手で掴むと逆さにし背中を叩きました。
「泣いて下さい!テネリ王妃の為にも泣いて下さい。生きて下さい」
少女の声が届いたのでしょうか赤ん坊はが弱く「ふぇーん」と泣き出しました。
少女は赤ん坊を抱きかかえ王妃の所にいきました。
「王妃様、男の子でございます」
テネリ王妃は少女に抱きかかえられた醜い赤ん坊を愛おしそうに見つめました。
「おぉ、私の側へ」
少女は王妃の隣に赤ん坊をそっと置きました。
テネリ王妃は小さな頭を優しく指で撫でました。それはまるで普通の赤ん坊がいるかの様です。
「よく耐えて生まれてきてくれました」
王妃は頬を近づけ涙を流しました。
「愛おしい我が子よ」
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