上条くんは一人がいい 1

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僕は中2になる今日、この学校に転校してきた。 前の学校にいたときから友達なんかいなかったし、必要なかった。 「はーいみんな座って。今日から2年生になりますね。じゃあ一人ずつ自己紹介してもらいたいんだけど、その前に転校生を紹介しまーす!  さぁ上条くん入って」 先生に促されて僕は「失礼します」と小声で言いながら教室に入る。 「じゃあ、上条くんの席は、、、あそこの一番後ろのあいてるとこ座って」 「はい。ありがとうございます」 僕は頭を下げて先生から言われた席に向かう。その途中で一人の女の子が話しかけてきた。 「ねぇ、わたしさぁ君のことけっこーかっこいいとおもうんだぁ!だから付き合ってあげてもいいよ!」 声をかけてきてくれたのは嬉しかった。でもめっちゃ上から目線だし僕の好みの顔じゃなかった。 失礼とはわかっていたけど聞こえてないふりをして席についた。 「よし、じゃあ改めて一人ずつ前に来て自己紹介してください!」 最初に前に出たのはさっき僕に話しかけてきた女の子だった。 「えっとぉ〜、西野 姫華でーす!まぁ姫華のこと知らないのって転校生くんだけだろうけど、姫華のパパってでっかい会社の社長さんだからぁ姫華に失礼なことしたらぁパパに怒られるってことを覚えといてね!」 西野姫華が言うようにあいつの父親はそこそこ大きい会社の社長だった。 でも僕はそこの会社の親会社を運営している。基本的に顔を見せてないから秘書室の人たちぐらいしか僕のこと知らないし、人前に出るときは副社長に任せていた。 それからしばらくして僕の番が回ってきた。 「上条蓮夜です。 学校来れないことも多いですがよろしくおねがいします。」 ただ自己紹介しただけで女子からの黄色い声が飛び交った。 顔がいい自覚はあったけど、ここまで"きゃー”って言われるとも思わなかった。 「じゃあHRまで30分間休憩!」 先生が教室から出ていくとみんな立ち上がって仲の良い友だちのところに行く。 そんな様子を見ながら僕は(30分あるなら仮眠がとれる!)と思い伏せようとした、その時だった。 「ねぇ、蓮夜くーん♡30分もあるんだし、姫華たちが学校内案内してあげる            から、いこ?」 と、声をかけてきた。 「いい。」 「え〜姫華の自己紹介聞いてなかったの?姫華のパパおっきい会社の社長さんだよ?」 「だから何?それってすごいのお前のお父さんであっておまえじゃなくない?」 まるで"虎の威を借る狐"そのものだった。  「ひどいよ!もういいもん!パパに言って、蓮夜くんと蓮夜くんの家族、社会的に病むようにしてもらうもん!」 「へぇ、じゃあやってみれば?いくらあんたの自慢のパパでも出来ない事ってあるんだよ?」 みんなが僕らの方を見ていた。 (クラスの女王様がフリだとしても泣いてるもんなそういうもんか、、、) 「ちょっと謝りなよ!姫華ちゃんが可愛そうじゃん!」 周りで見ていた女子が言った言葉をきっかけにみんなが、僕に向ける目が冷たくなった気がした。 「なぁ、みんな状況ちゃんとわかってんの?」 「え?どういう事?流牙、詳しくおしえて!」 そう言われて流牙と呼ばれた男子が話しだした。 「まず、姫華ちゃんが、転校生の上条くんに学校案内してあげるから行こ?って言ったんだけど、上条くんがそれを断ったのね、そしたら姫華ちゃんがお父さんに頼んで怒ってもらうよって、、、」 「え?じゃあ上条わるくなくない?」 と、一人の男子が言ったその一言をきっかけにみんなが流牙と呼ばれた男子の話を信じようとしているとき、、、 「みんな流牙くんの話信じてるみたいだけどさぁ実際、姫華ちゃんがぁこうやって辛い思いしてるわけだし?上条くんもちゃんと謝んないと」と、西野姫華のそばにいる子が言った。 「それなら、先に姫華ちゃんが上条くんに謝んないと、、、だろ?」
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