登校

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登校

「行ってきまーす。」 「はい、行ってらっしゃい。」 学校までは、徒歩15分程度なんだけどここが問題。 「あ!タケルだ。」 同級生のタケシが走ってくる、逃げるけどすぐに追いつかれてしまい、頬っぺたをグニグニしたりビヨーンてしたりする。 「おはよう、タケル」 気が済むと、とっとと校門へ向かって走っていく。 「早く来いよー、ぎゃははは。」 周りの女子たちは、クスクスと笑っている。 毎日、登下校時にこれをやられて、ほんとに嫌だった。 教室移動の廊下でも時々やられるので、タケルはタケシが嫌いになっていたが、都会から転校してきて、陽気で足が早いタケシはクラスの人気者だった。 もうやめろよ!と、一言いえば済むのだろうけど、なんかクラス全員を敵に回してしまうかもと考えすぎてしまって言えない。 明日は言ってやろうと、いつも家では思っているがやっぱり言えない。 下校前のホームルームで、担任の賀来先生から、昔担任したクラスでいじめがあったこと、いじめを受けていた子と何人かが、勇気を出してもうやめてと言って解決したことを話した。 よし、今日の下校時にやめてって言おうと、タケルは決心した。
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