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8.
「いッ……いやだ、一樹さんっ!」
到底敵いそうもない力で強引に身体を押し曲げられ、圧迫された喉奥から苦痛の声が漏れる。
「誤解、です…。おれ、は……ッぁああッ!」
仄暗い天井に向けて曝け出された会陰と肉環に、ぬるりとした生温かいものが這い、吸い付いた。
それが一樹の舌だと理解したと同時に、鋭い快感が要の全身を走り抜けた。
「や……あっ、ぁあう」
これ以上はしたない声が漏れ出ない様に、珊瑚色の口唇と肉環を締める。
だが、一樹の細めた舌先は内側にまで入り込み、繊細な輪郭を中から舐め上げて来る。
内奥にまで垂れ落ちて来た唾液の感触に肌を粟立たせると、一樹は顔を上げ、両の親指を使って、今度は要の肉環を拓き始めた。
「ひぃぃいっ! うぅ…ぐ、…ぅうう…」
快感に蕩け始めていた身体が、無理にこじ開けられる苦痛に強張る。
拓こうとする指の動きに逆らって締め付ければ締め付ける程、一樹の節くれ立った固い指の存在を、より感じてしまう。
「痛みにも、ここまで反応するとはな。変態め」
途切れ途切れの悲鳴を浴びながら、一樹は口唇を歪めて嗤った。
「な、何言って……。変態はあなたの」
「へえ。ここをこんなに腫らしておいてか」
「――― ぃぎッ!?」
張り詰めた陰茎と睾丸を容赦なく平手打ちされ、身体が無意識に縮こまる。
全身から噴き出した冷や汗に塗れ、息も継げない痛みに呻く哀れな姿を見下ろしながら、一樹は長い指を使い、再び肉環を拡げて中を掻き回した。
「い、いたい…っ。やめて……!」
痛みを訴えた所で、一樹の指淫が止むことは無い。
それどころか、深々とチューブに貫かれた陰茎はこんな惨い仕打ちにも過敏に反応し、鎌首を擡げようとしている。
それを阻める金属製のケージは、気が遠のく程の痛みを要に与え続け、内側から少しずつ、彼の自我を崩壊させて行った。
「うっ、うっ、うっ……、ん…ぁん…、んん――っ……」
内部をこじ開けられる痛みと、勃起を阻まれ尿道を塞がれた事で湧き起こる、甘痒い痛み。
無数の小さな虫が内奥から全身へと這い回る様な感触を覚えて、要はぞわりと腰を震わせた。痛苦の深潭で耐えるだけだった身体が、快楽を得ようと、貪欲に蠢きはじめている。
膝裏に溜まった熱い汗が、白い太腿を伝い落ちた。
一樹は指を抜き取り、要の両腕を拘束している帯を掴んで起き上がらせ、寝具の上に膝立ちにさせた。
「―― 舐めろ」
寛げたスラックスと、下着の前立てを突き破る様に屹立した男根を目の前に出された要は、怒りと恥辱に眦を朱く染めている。
まだ陰部を平手打ちされた痛みが残っているのか、自分からは動けないでいる要の髪を掴んで、先走りの雫が滲む鈴口を頬と口元に擦り付けた。
「っ…、く……」
屈辱的な行為に柳眉を寄せて一睨するも、冷酷な視線で続きを促される。
要は観念した様子で瞼を伏せ、しっとりとした口唇を開き、一樹を迎え入れた。
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