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10.
「あ、あの…一樹、さん。この栓、外して…貰えませんか……?」
苦悩を抱え、眉を顰めた能面の『中将』の様な表情で仁王立ちしている一樹を見上げ、恐る恐る声を掛ける。
「鍵は充が、持っているだろうから…、貞操帯を外すのは、無理だと、思うんですけど…。この栓なら、一樹さんでも外せるはず…っ、なので」
拘束された不自由な身体で、ぎこちなく寝具に腰を下ろす。
「苦しい、…んです。せめてこの栓を……外して、貰えませんか? お願い…します……」
震える爪先で褥の上を滑らせつつ、ゆっくりと閉じ合わせた両脚を開く。
窮屈なケージに収められた要の陰茎は、今やはち切れんばかりに膨張しており、奥から滲み出た透明な蜜が、尿道を貫くチューブ内を満たしていた。
勃起を阻まれるだけでも想像を絶する程の痛みを伴うというのに、栓をされて体液が逆流してくる感覚に堪えきれなくなったのだろう。
恥を忍んで開いた両脚の間から、苦痛と愉悦に極まりながらも窄まっていた肉環が、艶めきながら開花する様を見せていた。
全身の血が沸騰し、ずしりとした重みと共に、一樹の下腹部に熱が集まって行く。
「……分かった。外してやるから、俺に背を向けて四つん這いになれ」
―― 貞操帯の栓を外すなら、正面を向いた今の体勢の方がやり易いのでは……?
と、一瞬だけ訝しんだが、大人しく彼の命令に従う。
膝立ちの姿勢でのろのろと一樹に背を向け、拘束された両手と頬を褥に着いて、身体を弓なりに反らせた。
「あっ」
腰骨の下に腕を差し入れられて、ぐいっと更に下腹部を持ち上げられた。
同時に膝を払われ、内奥が一樹の目の前で曝け出される。
「いや……! 見ないでっ」
物欲しそうにひくついている珊瑚色の肉環に一樹が息を呑んだのを感じ取り、急いで身体を起こす。
起こしたと同時に、有無を言わさぬ力で再び褥に抑え付けられ、要は呻いた。
「俺がいいと言うまで、動くな」
背筋が凍り付きそうな声音で言い放ち、寝具の傍にある月と菊、桔梗等の秋草の文様が描かれた蒔絵の鏡台に手を伸ばす。
二つある抽斗の、右側の取っ手を引いた。
そこには、要が普段使っている塗香が入った紫檀の器の他に、草花柄が彫刻された堆朱の瓶が納められている。
その瓶を掴み取り、中に入った粘度の高いオイルを白い狭間に垂らした。
「ひッ…! や、ぁ…やめ……」
伝い落ちるオイルの冷たさに身を縮こませるも、直後に挿し入れられた男根の熱さと太さに、眩暈を覚えた。
「あ、あ…ぅあぁあっ……!」
最奥へと突き進む男根を受け容れようと、要の肉壁が己の意志とは無関係にざわめき出す。
圧迫感に息も継げないでいる身体が抱き起され、括られた両腕が一樹の首後ろに回される。
背面座位の姿勢で、彼の思うがままに蹂躙される事を理解した要は、青褪めた。
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