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私が頻繁に半ば気を失っている話~ナルコレプシー~
人生で意識を失う機会って、どれくらいあるのだろう。
ちなみに、私は毎日ある。ナルコレプシーの「睡眠発作」というやつだ。意識が戻ったときに、寝ていたことに気がつく。
これは、ナルコレシーⅡ型と言われた人間の話。
まず、ナルコレプシーの話をしておくべきかと思う。
ナルコレプシーは簡単に言うと、夜ちゃんと寝ていても昼間に重度の睡魔に襲われる。自分でコントロールすることはできない。その性質から「居眠り病」と言われている。
実感からすると、気がついたら寝ている。本人も寝てしまったことに気がつかない。起きてから気がつくを繰り返す。睡眠発作というらしい。
他に症状を挙げると
1,情動脱力発作(カタプレキシー)
突発的な感情の動きがあると、突然脱力する。持っているものを落としたり、立っていられなくなったり。
2,睡眠麻痺
入眠前後や起きた直後に身体が動かない。
3,入眠時や覚醒時の幻覚
4,夜の鮮明で恐ろしい夢、中途覚醒
世界的に見ると600人に1人の割合でナルコレプシーの方がいるらしい。私は今のところ、周りで出会ったことはないのだけれど。
ナルコレプシーには種類がある。
ナルコレプシーⅠ型、ナルコレプシーⅡ型。違いは、Ⅰ型には情動発作がある。Ⅱ型にはない。オレキシンの量の違いもあるらしい。
実は私は検査でナルコレプシーという診断を受けたけれど、もしかしたら特発性過眠症なんじゃないかと思っていなくはないが、そういう話は主治医とすればよいので、ここではやめておく。
症状がいつからありましたか、と訊かれることがある。私はなんだか困ってしまって、控えめに「中学生からです笑」と答えることが多い。だって、診断をもらったのはそれから何十年も後の話だったのだから。
中学生の頃の私は、とてもすごかった。寝ながら卓球ができたのだ。卓球部だった私は、なぜか私に優勝をさせたい母によって、よく近くの卓球台に連れていかれた。そして無理やり卓球をさせられた。当時は死ぬほど嫌だった。この時間を勉強にあてたかった。
いや嫌なことをしていると、私は眠くなる。意識が戻ったときには、ラリーが続いていた。あれ、身体が覚えているものなのかな。人体って不思議。
そういうことばっかりだった。高校生になっても大学生になっても、私のノートは授業を聞いていないで寝ているはずなのに、ノートがきちんと取れている。みみずがのたくったような文字だけど。
しかも、成績に困ったこともない。簡単なことだ。卓球を辞めた後は、起きている時間のほとんどを勉強にあてていたから。
私の場合だけれど、生活の仕方が睡魔を基準にして考えるようになる。勉強がしたいのに人より寝てしまう私には、覚醒している時間のすべてを勉強にあてている睡魔がきてもよいように身構えていなければならなかった。
具体的にどんな生活だったのか。高校時代の休日の場合でいうと
七時に起きる。八時くらいまで朝食とか何やら。九時から十一時まで机に向かう。だいたいに時間は睡魔に潰されるので、よくて勉強時間は一時間。十一時から十二時で昼食やらなにやら。十二時から十七時まで勉強。睡眠が一から二時間。できて勉強時間は二時間。十七時から十八時が夕食やら何やら。また一時間くらい眠ってしまって、二十一時には風呂。二十二時には寝る。
さて、何時間机に向って、何時間勉強できた?
私って、寝るために生まれてきたのかな? 生きる意味あります?
もちろん、大人になればこんな生活はままならない。仕事にも支障が出てくるのだから、もう笑ってやるしかない。
そして私はHSS型HSPやらADHDもあるので、めっちゃくっちゃ興味が移る。覚醒しているときに集中力を保っていられるかどうかは、そっちの症状も落ち着いてくれているかが問題になったりする。
もっともそこは私がもう少し、欲のない人間になるように努力すればいいんだろうな、って気はしている。だって、今はしたいことを持ちすぎているのを自覚しているから。
いつか障害者手帳とか、自立支援の対象になるとよいのだけれど、まだまだナルコレプシーは治療法もわかっていないのに、大した支援はない。とても言い方が悪いのだが、二次障害を引き起こすしか、支援をいただく方法がないのだ。うつ病とか、発達障害とか。
まあ、いつか治るといいな。起きていられるように薬を飲みながら、飲んでも寝てしまうのだろうなあと悲しくなる自分にふたをして、今日やるべきことを考える。
私が頻繁に半ば気を失っている話。
※ナルコレプシーについては、NPO法人日本ナルコレプシー協会さんを参考にいたしました。
https://narukokai.or.jp/about_nalco.html
※ナルコレプシー3型があるとのご指摘をいただきましたが、調べてもわかりませんでした。情報をいただけますと幸いです。
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