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札幌にて
元J1のサッカー選手だった浩哉は、自らが招いた交通事故による右足首の複雑骨折で選手生命を絶たれた。
浩哉はリハビリが思うように進まず自棄を起こして自殺未遂を引き起こした。
看護師だった私は、真夜中に病室を抜け出した浩哉の後をつけ、屋上の柵を乗り越えようとしていたところを引きずり下ろした。
それが縁で、同じ27歳だった私と彼は、結婚した。
兄弟姉妹のいない私は、当時、立て続けに両親を病気で亡くし、一人ぽっちになってしまった寂しさから、理由は違うにせよ一人苦しんでいる浩哉と励まし合って生きることで、未来が明るくなるような気がしていた。
今思えば、あの時、あのまま死なせてやればよかった。
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