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できるだけ足音をさせないように、慎重にタイルの上を歩く。三つある個室はどれも扉が開いている。そのひとつ目を覗き込むと、祐樹は思わず出そうになる声を手で塞いだ。
開かれた扉の向こうには、写真と同じように牧尾があられもない姿で便座に乗り上げている。しかし違ったのは、その体が白い体液で汚されているというところだった。腹も、胸も、牧尾のものか違うのか大量のそれでまみれている。この一時間で何人の男を相手にしたのか。晒された秘部からも同じものが垂れていて、同じような光景を動画で何度も目にしたはずなのに顔を背けたくなってしまう。しかしそれに胸が高鳴るのも事実で、祐樹はその場に固まってしまった。さてこの後はどうしようか。そんなことを考えていると、まだ息も整わぬ牧尾が祐樹の気配を察知したのか言葉を投げかける。
「誰か、そこにいるんでしょ」
はっきりとしたその声は、確かに牧尾のものだ。しかし大学で聞く冷静なそれとは違い、上擦って色香の漂う気怠げな声だった。体液がこびりついた唇が、妖艶に祐樹を誘う。
祐樹はあぁとも否とも言えず、しばらくその場に立ち尽くす。自分は彼が牧尾であるかを確かめるために来たのであって、欲の赴くままに犯すために来たのではない。そう自分に言い訳をするが、ズボンの前部分は正直にもすでに盛り上がっていた。離れなければいけないと頭ではわかっているが、足が言うことを聞かない。祐樹がそんな葛藤をしていると、牧尾はふふっと笑って言った。
「一緒に気持ちいいことしよう」
さきほどまであんなに絶頂を拒んでいたというのに。そんな矛盾はぶちりと切れた理性と共に、頭の片隅へと追いやられてしまった。汚らしいと思うのに、その肌に触れてみたいと思う。祐樹は手を伸ばし、一歩近づいた。その気配を感じ取ったのか、牧尾はさらに足を広げて尻たぶを広げて見せる。体液を排出した後孔は、ぽっかりと締まり切らぬ口をパクパクと開閉させていた。それはまさに食い締めるものを待ちわびているかのようで、またもや祐樹の下腹部に熱が集まる。
気付いた時には、祐樹は後ろ手に扉を閉めていた。
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