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まちぶせ
ブレンやジュリアンが烏賊頭と死闘を繰り広げ、王女と王都を守った褒美に王宮に招かれていた頃
そう丁度一週間経ったくらいか
「ギャーーーーーーっ!!!」
王都の外れ、翼の生えた妖艶な女が障壁に引っかかって、いや張り付けられていた
障壁には延々と雷撃が流れ、女を焦がし続ける
「おのれ…おのれぇーー!」
女が呪詛の声を上げ続けていると
銀光が月夜に閃き、チンと金属音が鳴ると同時に、女が地面に真っ逆さまに落ちて来た
ただ、その代償に背中の翼はキレイに根本から失われていたが
女は結構な高さから落ちた衝撃と、それまで浴びせ続けられた雷撃の呪文の衝撃、そして翼を裁ち切られた痛みで、延々と呪詛の言葉を吐き続けている
「やれやれ、折角雷網から助けたのに、お礼の一言も無しですか?」
男の声が近付いてくるが、その女、サキュバスは身動きひとつしない
その男を見上げる目に浮かんでいるのは…恐怖以外の何物でもなかった
自分が囚われていた高さは、城壁とほぼ同じ
そこまで斬撃を飛ばして来たその剣技に、だ
「聞きたいことがあるので、こちらで待たせていただいたんですよ?まあ、夜だけですけど。お待ちしていた甲斐がありましたよ~?」
どこか楽しそうな男はサキュバスの目の前に屈み込んで
手にした曲刀の鞘を顎下に入れて、自身の顔と正対させた
「美人が台無しだ…ちょっと待ってくださいね?」
そう呟くと神聖魔法の初歩、治癒の呪文を唱え始めた
「うん、これで大丈夫!元通りの美人さんに戻りましたよ?」
男は懐から手鏡を取り出し、サキュバスに見せる
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