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「さて、質問に答えていただけますか?」
フードから森の民の証拠に細長い耳が覗いている
「貴女たち魔族が邪神の信徒に手を貸したのは何故です?メリットなど無いでしょうに」
「そ、それは…」
「あ、この障壁って貴女たちに対してだけ、雷網の効果が出るらしいんですよ。それも術者が飽きるまで、ね?試してみませんか?」
危機感の欠片も無いのか、森の民の男はあろうことかサキュバスを、俗に言うお姫様抱っこで障壁に近付いていく
サキュバスの中に先程までの地獄の苦しみが蘇る
「わかった!喋る、喋るから!許しとくれ!」
フードの中で男が笑っている。嬉しそうに。何の邪気も見られない笑顔で。
「女の人が傷つくのを見るの、好きじゃないもんで、素直に喋ってもらえるのは嬉しいですねぇ。それに貴方やヘルマスター如きにグレーターデーモンが従うとも思えませんし。あの混沌の神官なんか論外でしょうし」
しかし男が続けて発した言葉に、サキュバスはさっきまで以上の恐怖を感じた
「アークデーモンあたりが、……を復活させたがっているとか?」
サラリと出た固有名詞は…魔族の中でも限られた存在しか知る由もないものなのに…
と、近くに青緑の光が現れ、すぐに人型を取る
それを見たサキュバスはガタガタと震えだし
「喋ってません、喋ってません、だからどうぞお許しを…」
サキュバスの言葉はそこで途切れた
青緑の人型から炎の鞭が伸びて来て、その身体を貫いていた
サキュバスが冷たい炎に包まれ、その姿が溶け崩れていく
最後にその表情に浮かんでいたのは…快楽の表情だった
森の民の腕の中でサキュバスは燃え尽きた
「まだ何も答えてくれてなかったんですが?せっかく美人に治して差し上げましたのに…」
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