因縁の仲

1/2
前へ
/15ページ
次へ

因縁の仲

男が平然と立ち上がり、手に残ったサキュバスの残滓を風に散らした ビュン たった今サキュバスを滅した炎の鞭が伸びてくる 「危なっ」 男がスウェイバックして躱す 頭の高さを一陣の炎が通り過ぎたのだ 「ご存知だと思いますが念の為…火って近付いただけで熱いし、下手したら火傷しちゃうんですよ?」 ボヤきながら?説教しながら?それでもあらゆる方向から迫る炎の鞭を 「よ」 「ほい」 「危なっ」 など、軽い調子で躱し続けている 右手に持った長めの曲刀を抜くでもなく、鞘で払うこともなく ただ、避けるのみだ かと言って必死になっているワケでもなく、まだまだ余裕がありそうだ 「森の民にしては中々やるようだな?」 延々と続くかと思われた鞭での攻撃を止めた魔族が声を掛ける 「我の鞭を防ぐとは…何時ぞやに森の民の郷でやり合った娘と同じ…否、貴様の方が上か」 「お褒めに預かり光栄ですが…そのエルフの郷って…」 男が口にしたのはとある高位魔族の名だった 「あやつを、バルログを知るとは…貴様あの郷の生き残りか?」 「残念ながらあの郷の出身じゃあないんですけどね…じゃああの時感じたのは、貴方が現界したからなんですね?じゃあ、久しぶり、と挨拶するのが正解でしたか」 口調とは裏腹に、男の纏った空気が急速に冷え始めていた
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加