因縁の仲

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「我は貴様など知らんが?」 「はあ、それは…ではこれなら如何でしょうか?」 「!!!」 サキュバスを物ともせず屠った魔族が後退った そののんびりした話し方からは想像もつかない、そんな凄まじい殺気が放たれたのだ ただ抜刀しただけだと言うのに 「貴様…それは、死神をも…」 「漸く思い出してくれましたか?龍女帝のダンジョンでは何度かお会いしましたが、一介の森の民ごとき覚えておられませんよねぇ」 男の言葉が終わらぬ内に炎の鞭が神速で男に伸び、その細い身体を貫かんとした が その鞭の一撃は緩やかに湾曲した鞘に容易く跳ね上げられていた 「おのれ…!」 魔族…アークデーモンが鞭を振るう! 自身に死を恐怖させた相手を屠るべく、何度も、何度も! 「悪くないですが…そろそろ姫を迎えに行くお時間ですので。遅れるとご機嫌取るの大変でして…質問をひとつ、ハイエルフの森を配下の魔族に襲わせたのは貴方ですか?」 その言葉と同時にアークデーモンの周囲に男の姿が幾つも現れていた その数は8つ 「…ハイエルフの森?知らんな…そんな取るに足らぬ集落を何故我が眷属が滅ぼすと考えた?…その程度の分身、まとめて消し去ってくれようぞ!」 その口が古代語で詠唱を開始する 平衡神神殿でグレーターデーモンが唱えたモノとは違う、魔法風が吹き始めるのはより強大な攻撃魔法だと言うことか 「ありがとうございます。…でも、遅いですよ?」 キン 金属音が一度だけ夜の王都に鳴り響いた 「バカな…」 この言葉を最後にアークデーモンは塵になった 大悪魔が最後に見たのは、自身を取り囲むように同時に向かって来る、8つの斬撃だった 「これなら腕が鈍ったなんて言われないはずですよね?」 その呟きを残し、男は姿を消した
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