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登校していつものように靴箱を開けると、上靴の上に何かがのせてあった。僕がそれをそっと取り上げると、封筒だった。急速に心拍数が上がる。
えっ、まじ? ドラマとかではこういうのってラブレターっていうんだよな。
自慢じゃないが、これまで僕は誰かの恋愛対象になったことがない。だが、僕には密かに憧れている人がいた。
学年一の美人の梅小路玲愛さん。
もちろん何の取り柄もないただの鉄道オタクの僕が、恐れ多くもカースト最上位の梅小路さんに恋をすることなどあってはならないことだ。だが、遠くから眺めて憧れているだけなら許されるだろう。
今、手にある封筒からはかすかにいい匂いがする。
まさか、まさかそんなことないよな。僕は自分を落ち着かせながら、人気のない廊下に移動して、恐る恐る中にある便箋を取り出して広げた。
『ずっと八木くんのことが好きでした。R.U』
ちょっと待て。R.Uって梅小路さんなのか?
僕は頭をフル回転させる。名前がRで苗字がU。梅小路さんしかいないはず。
いや待て。もしかしたら苗字と名前が反対ということもあるか。
再び僕は頭をフル回転させた。苗字がRで名前がU。陸前高田、両国、六地蔵……。いや、それらは鉄道の駅名であって苗字ではない。栗林もとい栗林さんなら学年にいるが、Rではない。
すると、やはりこの手紙の送り主は梅小路さんなのか。もしそうだとしたら、僕の人生、今日からがらりと変わるじゃん。
そんなふわふわとした気持ちで、僕は教室に向かった。
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