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これからも物語は続いていきます?
「シルヴィン! 凄い! 凄いっ!」
「っていうか、今までどうやって窓拭きをしていたんですか……」
「え? それは言えない……」
翌日、人間の手では到底届くはずのない高さの窓を魔法の力で拭いてもらった。
おじい様とおばあ様が残してくれた魔法図書館も数年ぶりに、自分の外観の一部である窓の艶やかさに喜びを感じてくれているような気がする。
「ローレリア、あとで水撒きの量を教えてもらえますか?」
「そんなの適当~」
婚約者であるシルヴィンに嫌われないように気を張った生活は、さすがに窮屈そうだから諦めた。
私は私らしく、シルヴィンと接していく。
(ローレリア・スフレインという人間を認めてもらって、そして婚約破棄を阻止……って)
考えごとに夢中になっていた私は、梯子から下りる途中で足を踏み外した。
「ローレリア!」
「すみませんでした……」
尻餅をつくことなく足を着けることができたのは、もちろんシルヴィンの魔法のおかげ……。
「護ってもらっちゃったね」
「これくらいのこと、護衛でもなんでもないですよ」
「ふふっ、そっか」
そんなことを言ってくる割に、私が怪我していないかどうかを心配してくれるシルヴィン。
そんな優しい人から婚約破棄されないように、これからは最大の注意を払っていきたいところ。
「じゃあ、お礼に今日のお昼はシルヴィンの好きな物を作っちゃう!」
久しぶりに、誰かとお昼ご飯の相談をするなんて経験に心を弾ませる。
けれど、そんな幸せに浸ったのがいけなかったのか、玄関に飾られている呼び鈴が私に来客を知らせた。
「誰だろう?」
「スフレイン家の使いでは?」
「呼び鈴の響きが違う気がする」
私がシルヴィンから婚約破棄されるかどうか。
私の方からシルヴィンに婚約破棄する流れになるのか。
それはまた、いつか語られる次の話に続きます。
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