推しマゲドンの朝。

推しエネミー

　いつしかＳＮＳもネットメディアも、ミカ推しとマオ推しの戦場になった。
　マオ推しはミカ推しにヘイトのコメを送る。
『あざとカワイイもどき』
『弱者の味方面』
『エセＳＤＧｓ』
『イイのは音楽だけ』などなど……。

　一方、ミカ推しは、リベンジ投稿でマオ推しを叩く。
『フェイクリア充』
『自分大好き中毒』
『モチベのドーピング』
『無限欲望増殖機関』って感じ。

『うちの教授の予測だと、危機が近いって』
　仁葉が、世間のあまりにも急な変化を、研究室からＤＭで報せてくれるようになった。
　大企業は、次から次へとマオを顧問に迎えて、経営判断を委ねている。
　一方で、ミカは、国連安保理に招待されて、近々、オンラインでスピーチする予定だ。
　経済も政党も宗教も、いつの間にか、推しでふたつに色分けされていた。