推しマゲドンの朝。

推しウォーズ

　コメ欄に、滝のように発言が流れだした。
『マオウだなんて、キャラだと思ってた』
『これが黙示録の闘い？』
『いつそんな闘いがあった？』
『今日は4月１日だっけ』
『まさか、世界が終わるのか？』
『いいから、もうタネ明かしして』
『ミカとマオで何を争ってるのか、わかんない』

　そのコメを目にして、ミカが解説を始めた。
「カミとマオウで決めたの」
　ふふッと笑う。
「推しの人数とアクセス数をプラスして、合計からヘイトの数と兵器数をマイナスして、ポイントを競うって。さあ、結果発表。ガブリエル！」
　信じられないけど、空一面にファンファーレが響きわたった。
「ミカが５６億７０２１万５００８ポイント、マオの方は５６億７０２１万……ここまでは同点ね……７７４８ポイント！　マオの勝利！」

　マオの声が割りこむ。
「やったね、次の３０００年紀も欲望と暴力と理不尽の時代で決まりや！」
　画面も切り替わった。
　けらけらと腹を抱えるマオが映る。