推しウォーズ

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 笑い転げるうちに、電波塔から落ちる、じゃなくて跳び降りるマオ。 「あんたら人類は懲りへんね。前の3000年紀と同じく、次もよろしゅう!」  真下に広がる街並みに、地平線の先まで続く巨大な地割れが開いて、マオを飲みこんだ。  ミカは、深いため息をついた。 「前のハルマゲドンは、ガチの闘いだったわ」  ちょっと遠い目をする。 「武装した天使と異形の悪鬼の斬り合い。天翔ける騎士と火焔を吐く竜の死闘。それに天変地異。人類は、ほぼほぼ天国か地獄逝きになっちゃった」  少しだけ、哀しそうだ。 「で、今回は人類が発明した『数』という概念で、あらかじめ競うことにしたの」  一瞬だけ、ミカの目に光が宿った。 「それなのに、結局お互いに滅ぼし合うのね……」  そう言いながら、ミカはゆっくり天に昇り始める。  ワタシも両親もまわりの車のヒトも、スマホから目を上げて上空をあおいだ。  朝陽に照らされた緑のミサイルの群れも、空の中に溶けるかのように薄くなり、消えていく。
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