推しジェネシス

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推しジェネシス

 また、マオウの時代が始まった。  けれども、ワタシたちの生活はあまり変わってない。  皆んなで幸せになろうって言いながら、ホントは幸せじゃないから、自分だけは幸せになりたい、なんて思ってる。  だいたい誰もがそんな感じ。  もともと前の3000年紀もマオウの時代だったっていうし、そういうものかも。  そしてまた1か月後。  ワタシの次の推しは、近所のヴィンテージ古着屋のイケメン店員。  ショーウィンドウのレトロなワンピースが気になって入ったら、無愛想に服を修復している彼に逢うことができた。  それからずっと通いづめ。  仁葉からDMがきた。  留学を早めに切り上げて帰るって。  うれしい。  そして仁葉が帰国する日。  パパの車に乗って、空港に迎えに行く途中、ぶるるんとスマホが震えた。  沙希からのDMだった。  ずっと待ち続けていた。
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