推しエネミー

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推しエネミー

 次の日。  『マオ』がSNSに現れた。 『マオウのマオだよ。みんなの願いをかなえるね、一緒に幸せになろう!』  今度はマオウ。  投稿の内容は、頭がさえるサウンド、一日五分の副業で稼ぐ方法、成功に導く魔法の言葉、幸運を招く映像などなど。  そのうち、マオの投稿のコメ欄に、事業が成功した、とか、恋人をゲットした、とかを感謝するコメントが並び出した。  肌がつるつるになったビフォーアフターの写真。  鬱が治ったヒトの涙ながらの体験談。  理想の自分へ脱皮した、マオが言うことにはハズレなし、そんな話が無数に続く。  クラスでもマオの話とミカの話が半々になった。 「つまり、自分を大事にして、毎日どれだけ新しい発見をするかだよね」 ソウがバスケットボールを指でくるくる回してみせて、胸をそらせる。 まわりで推しの男子女子が、目をキラキラさせてふんふんと聞いている。 うーん、こわっ。  そんな、ある日の昼休み。  最近高校に来てない沙希から、久しぶりにDMが届いた。  
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