恋人よ

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「チョビ!聞いた?」 「何を?」 「…」 ユイは私のことを「チョビ」と呼ぶ。 彼女の言葉は夜明け近くのクローゼットの中   床に落ちて床を転がった。 「どう言っていいか分からないけど…」 それ以上聞くことを拒んだ私。   その瞬間、一昨日のあなたからの電話の   最後にあなたがついた深いため息が   耳の奥で蘇る。 「チョビ…愛してたよ。誰より」 誰よりも温もりを欲した二人。 最初で最後にあなたが言った言葉。   それまで何度きいても   言ってくれなかった言葉を   最後の電話で言った恋人。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加