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読み切り 第1章
私はどこにでもいる普通のOL。
だけど、アラサー近いし、もう私に魅力を感じる男はいないはず。
だから、自分の人生を歩もうかなと考えていた。
私は野良猫をよくかわいがっていた。猫の集会に参加することもあった。
餌をあげたりもした。
家では猫を飼えない。
猫カフェに行くお金もないし、ペットショップでは猫を眺めるだけ。
いいなあ。私も猫がほしい。
ある日の仕事帰りに私は会社の人の車に乗った。
よく知っている間柄だし、車に乗るくらいいいかなと気軽な気持ちだった。
そこで、私の日常が崩れるとも知らずに。
車の助手席で普通に寝たりもした。
私は夢を見た。
三毛猫が喋っていて「この人は危険だにゃ」と言っていた。
そこで目が覚めた。
だけど、目が明かない。
多分、よくわからないけど目をガムテープか何かで塞がれているんだと思う。
さてと・・・・。
あれ、手は後ろに手錠みたいなもので縛れているし、口はボールみたいなものでくぐもった声しか出せない。
足は縛られてなくても、見えないんじゃどこに向かっていいのかわからない。
衣服を身に着けている感じはしないから、服は着ていないんだと思う。
本当に服を着ていないとしたら、恥ずかしいし、ここは着ていると思いたい。
ここはふかふかしたものが下にあるから、多分、ベットの上にいるのかな。
多分っていう推測でしかないんだけどね。
布団らしきものは、かけられていない状態で、横になっている。
寒くはない。暖房がきいているのか、風が私の方に当たっていて、暖かい。エアコンらしき音もする。
首は何かつけられている。首輪かな?
見えないからよくわからないや。
「あれ、起きたかな?」
誰なのかな、聞いたこともない声で、歩いて行く 音は聞こえるけれど、姿は確認できなかった。
誰なのかわからない手が、私のお腹、おへそのあたりから胸の間まで指でなぞっている。
くすぐったい。
彼氏いたこともない私はそんなの慣れているはずがない。
「おはよう、お嬢様。ご飯は何がいい?
ジャンクフード?それとも、スイーツ?」
ジャンクフードとか、スイーツって、ご飯になるのかな?
そう考えている間に、私のボールらしき猿轡は外された。
「誰なのですか?」
「さあ、誰だろうね」
「ここは、どこ?」
「さあ、どこだろうね」
「勘で当てるしかないの?」
「勘でしかないかもしれないね」
「私の昔の友達?それとも、会社の人?」
「どちらでもないかな。強いて言えば、君をこんなところに閉じ込めた張本人かな」
心臓がバクバクした。
そうだ、会社の人と車に乗っていたはず。
「私、会社の人と車に乗って、寝て、気がついたら、ここ・・・。これって夢?」
「夢だったらよかったのかな。だけど、車が君をこんなところに連れていくための入り口とも知らずに乗っていったのかな?」
「話がよくわからないから、一から説明してほしいな」
「今の君にそれはできないよ」
こうして、足音がして、多分、その人はどこかに行った。
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