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驚くことが起きたのは土曜日の部活終わり。
授業のない今日はTシャツとバスパンで来ているし、このまま洗い終わったジャグをしまってから鍵を締めようとした俺の目に入ってきたのは菊川先輩。
いつもの白いチームジャージに下はスカート姿の先輩は部室から見える木の下に立っていた。
「菊川先輩!」
ジャグのフタを持ったまま外に出ると、先輩は無言でこっちを見上げる。
「女バスは今日午前練だったんじゃないんですか?」
「お昼食べてきてミキの話を聞いているうちにいい時間になったから……今ならスコア教えるけど?」
「っ!!ぜひ!」
思わず力が入ると、菊川先輩は一瞬びっくりしたような顔をしてから小さく笑った。
この顔、ヤバい。
キリッとしたあの表情が崩れた瞬間、一気にドキドキが増す。
思わず菊川先輩をただ見つめていた。
「……聞いてる?吉井くん?」
ためらうように目の前で手の平を動かされてハッとする。
「部室は締めて鍵を返すでしょう?あっちの中庭ならベンチ……」
「あそこはめちゃくちゃ日が当たりますよ?こっちの陰はどうですか?」
ここ最近、菊川先輩を目で追って気づいた日向を避ける姿を思い出して微笑んだ。
「……座れないのに?」
「そこなら座れるじゃないですか!俺は立つんで」
手洗い脇のコンクリートにタオルを広げて促すと、先輩は無言でこっちを見上げてくる。
「鍵だけ返して来ますね!」
飛び上がりそうになるのを抑えて俺は走った。
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