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「あ、私は三木アリス!一応女バスのキャプテンなのー!よろしくね!」
思っていたよりサバサバとした話し方。
高嶺の花とか異国の姫とか……耳にしていた噂からのイメージとはちょっと違う。
「あ、はい。俺は吉井流星です」
「ヨッシーでしょ?」
「は?」
一応背筋を伸ばして頭を下げたのに、ケタケタと笑われて動きを止めた。
「小嶋からそう聞いてたけど?」
「あ、部活ではそう、ですね」
少し歯切れ悪くなってしまうと、
「嫌なら嫌って言えばいいのに。わかった?吉井くん」
目の前に来ていた先輩に微笑まれて俺の心臓がドキンと跳ねる。
小さな先輩は俺の目の前に立っても胸の位置にも満たない。
「あー私もアリスって嫌だから苗字の方が嬉しい!ね?キク!」
「それより部活。ムダに時間使い過ぎ」
百七十四あると噂の三木先輩と並んでも頭一つ分は違って、整った大人っぽい三木先輩とは対象的な可愛らし容姿の菊川先輩。
だが、言動は菊川先輩の方がキッチリしていて容赦がない。
「カッコいーな」
俺はドキドキと高鳴る胸を抑えつつ二人の後に続いて体育館に入った。
「遅っせぇから重くて運べねぇかと思ったわ!」
入ってすぐに力也が走ってきてその気分は台無しだが。
「は?それならお前運べって呼ぶだろ」
軽く笑いながらジャグを置くと、力也は「えー」と文句を言いつつ笑い出す。
「そろそろ始めるぞ!」
キャプテンのセイ先輩の声が響いて俺もコート脇にみんなと並んだ。
挨拶の後、走り出すみんなを見送る俺の視線の先にはこっちを見た菊川先輩が居た。
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