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家に帰ると、僕はソファーに寝転んで漫画本を開いた。
母さんも父さんも、まだ帰っていないみたいだ。
と、その時。
チャイムが鳴った。
誰だろう。
僕はカーテンを開けて外を覗いた。
「ミチルちゃん?」
僕は驚いて声を上げた。
急いで階段を降り、玄関を開ける。
「どうしたの、ミチルちゃん」
「あのね、本条君」
そう言うと、ミチルちゃんは暫く黙った。
一体、どうしたというのだ。
「私の妹、去年の夏にこの七不思議の犠牲になって死んだの」
ミチルちゃんはそういうと拳を握りしめた。
「もう誰も死んでほしくない。でも始まった七不思議は止められないから。だからね、もし自分が死んでも後悔しないように、伝えておこうと思ってここに来たの。私、岡森君のことが好き」
「え」
思ってもいなかった言葉に、僕は言葉を失った。
だって、僕はこれまでミチルちゃんと話したことなんてなかったから。
「どうして」
そう言うと、ミチルちゃんは真っすぐに僕の目を見た。
「かっこいいから」
ミチルちゃんは、返事はいらないと言って走って行った。
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