プロローグ

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

プロローグ

那須田(なすだ)、ここの問題解いてみろ」  自分の名前が呼ばれたと思い、顔を上げると私は教室にいて、数字教師に呆れた顔で見られていた。黒板を見てみると力強い、でも読みやすい字で数式が書かれていた。書かれていたのは高校数学最初の鬼門、式の展開の復習だ。一年のうちに学ぶことなので頭の中でささっと計算を済ませる。 「xの二乗マイナス、4です」  公式に当てはめれば一発で求まる。なんで、コレを苦労するのか私には分からなかった。同時に分かろうともしなかったが。 「そう、これは前に教えた公式で出るよな。じゃあ次はーーー」  他の生徒と先生の集中が私から逸れた。私が授業中に寝ていたことは珍しいことではない。ただ、いつもいつも寝ているわけでもない。のせいで夜に寝れなかったりするとその分授業中に寝なきゃいけない。今日は朝起きれたので良かったが、月一以上で起きられない日が来る。そういう日が私は少ない方だが、多い人は毎日のように続くのだと診てもらったお医者さんに言われた。  その多くの人が不登校になってしまうのだそうーーー  そんなことを考えながら私は再度やってきた睡魔に身を任せた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!